この標本は、平成元年の大浜炉休止に際し、乾留機構について検討するため石炭を装入後、乾留が約50%進行した段階で、燃焼室及び炭化室に水を注入し急速冷却を行った試験において炉内より取り出した乾留途中のサンプルです。
炭化室内では両側の加熱壁より炉の内部にむけて徐々に石炭が乾留されコークスとなっていきますが、右図2のようにこの段階では両側の加熱壁側と上部および下部でコークスとなっており、中央部はまだ乾留されていない石炭です。このコークスと石炭の境目がプラスチックゾーンといわれる石炭が軟化溶融している部分です。コークスとなったところには、加熱壁より石炭層側にむかって多数の亀裂が観られます。
コークス層の厚みは一定しておらず薄い部分や厚い部分が不規則に観察されますが、こうした乾留バラツキは蒸発した石炭中の水分がコークスの亀裂の一部を通って加熱壁側に流出しようとする際の石炭層内の水蒸気の流れによってコークス層が内側から冷却されるために生じます。水蒸気が炉壁側に出るのは比較的大きな亀裂からで、よくみるとこの部分のプラスチックゾーンは欠落しています。
- 実施日
- 1989年6月29日(木)
- 実施窯
- 大浜4炉2期#78窯
- 冷却法
- 燃焼室フリュー覗き穴および炭化室装入口より注水
- 注水総量→燃焼室(58m3)炭化室(67m3)/ 注水時間→2時間50分
- 冷却の時期
- 装入後7.5時間(乾留約50%)
- 装入炭
- 第1・第2装入口(C/S側)と第3・第4装入口(M/S側)で異種配合
- VM:26%(C/S側), 24%(M/S側)
